ナレーションのお仕事をしていると、原稿がどんどん増えてしまうので、なかなか以前のものを読み返す機会というのはほとんどありません。

 とはいっても、たとえば企業VPとかですと、従業員の数の増減があったので、動画のその部分だけ直したい、とかいうことが出てくるんですね。今のところその数字部分の改編だけで過去4回にわたりお受けしたことがありました。

 4回にもなってくると作った時というのは2年前ぐらいに遡ります。聞いている側はなかなか気づかないと思うんですが、話している側は自分の話し方が全く違うことに気づいています。

 それほどしゃべる仕事をしている方というのは変化が速いです。これはマンガを読んでいて気づくこともあるんですが、マンガ家さんもたったの4,5年で別人か?!と思うほど絵が変わってしまう方がいます。もちろんいい意味で。

 ただ、マンガ家さんの場合、以前のストーリーの部分に今の絵を差し替える、といったことはあまりないはずなので、変化していてもどうにかなります。

 ナレーターさんの場合はなるべく自然な形で以前のしゃべり方に近い形に戻す必要が出てきます。これがけっこうコツのいる作業かもしれません。

 あまりにも変わりすぎてしまって、マネ自体が難しい時はディレクターさんに全差し替えを提案してみるのもいいと思います。尺が長くなければ以前よりも改善される点が多く出てきて、聞きやすくなったりしますし。

 

 さて、実は本日、差し替えについて書こうと思ったわけではないのですが、事情があって以前の原稿をひっくり返しています。それはセリフの案件で海外からお受けしたものなのですが、もう完全に終わったものとして引き出しの奥~の方にしまってありました。

 個人的にはもうひっぱり出すこともないだろう、と思っていました。

 ところが最近になって懐かしい担当者から連絡があり、どうやら私の人生に再浮上しそうな感じです。

 正直、話が来たときは「ええ~嘘だろう」と思いましたが、どうやらホントらしく……こんなことあるんだなぁ、とちょっと驚いています。

 それについてはまたこちらで正式にお知らせできればと思っています。

 私は今は完全にナレーターですけど、元は声優を目指していましたから、こんな予想もしない形で声優案件が表に出るとは何とも不思議で……

 ただ、今回のことで、方法は予想もしない場所からやってくるのかもなぁ、とは思いました。どんなにひっ迫した状況でも、常識以外の何かが存在することもあるんでしょうね。