私は以前にもリフレクションフィルターHaloを買ったとき「ハロ」と勝手に呼んでいましたが、今回も相当長いこと「イゾトペ」と読んでいました。

 でも、私だけじゃないですよね? え、あなたは違うって? いや~そんなはずはないです。ローマ字読みしたらイゾトペですよね。

 宅録をなさっている方はみなさん、けっこうどこまで整音するかって言うのがビミョーなんですよね。

 ノイズとっています、と伝えても、やはりバリバリ現場でやってる編集さんからしたら、「おや、ノイズがとれてない……」と、言ってがっくりしてしまう方もいらっしゃるでしょうし。

 これではとてもじゃないが使えない、と言って結局プロにデータを整音してもらうディレクターさんもいるそうです。でも、これでは宅録でリーズナブルにいこう、と思ったのに予算オーバーになってしまうこともあるかもしれないですね。

 私も今までは、声にのってない部分のノイズは取り除くことができましたが、リップノイズだけは相当悩まされました。何回録ってもダメなときはダメで。特におなかがすきだすと唾が出てきてアウト。何か少しでも食べるしか方法がない。

 あと、他のナレーターさんよりも何倍も時間がかかっていたのは、あらかじめ何回もテイクをとって、どうしてもリップノイズがとれないところだけはさしかえていたんです。だから仕事も増やせない感じでした。

 しかし!

 以前からプロも使っているというんで気になっていたこのソフトをやっと使う気になりました。

 今まではわりとのんびり仕事をしていたのですが、なぜかここへ来て案件急増で、これまでのやり方ではさばけないことが判明しました。(早く気づいてよって感じですね)

 で、一番時間がかかっていたのはやはりこのリップノイズでした。リップノイズを出さないようにしゃべるだけでも、時間がかかります。

 と、言うわけでリップノイズをとることだけに特化してこのソフトを購入したのですが、いざその機能だけでどうにかしようとすると「あれっ、このとりきれずに残ったヘンな音はなんだろう……?」ということが頻発しました。

 リップノイズとして認識しない、へんな歯がかちあったりとかするノイズです。こういう認識されないノイズをどーしたらいいの、というのが使い出してからの課題でした。

 何しろこのソフト、バリバリの英語ソフトで、何がどーなってるのかわからない。最近になって「render」が適用、とかOKのボタンっぽいのがわかってきた。あとは、編集を元に戻すのをbackとかだと思って探したけど、全然違う。

 でも、不思議とaudacityよりは使いやすいです。私にはあの無料ソフトの方がさっぱりでしたから。

 で、さきほどお話したどの機能で認識するかわからないノイズをどーするかということですが、これがなんと自動でどうにかできるというのがこのソフトのすんごいところ。

 repair assistantという、AIさんが搭載されているんです!

 私のような「え、なに? ホワイト、ハム? 食品か?」なんてお門違いなことを言っている人間にはもはやこういう音がハムノイズでぇ、とか言われてもわかりません。

 これはやはりミキサーさんというプロの領域です。もちろんナレーターさんでもミキサーさんばりの整音をなさる方はたくさんいます。でも、私はまだまだそんなところへたどりついていません。

 このリペアちゃんは勝手にノイズを種別に振り分け、洗い出し、さらにこちらが選べるよう3パターンを打ち出して「これでどうよ!」(……と言ってるかはわからないが)と提示してくれるんです。

 私のようなノイズ素人にはこの3パターンから選んでおけばまぁまぁ無難な感じかもよ?というわけです。さらに、私がこの3つを聴いた結果、違いがわからない、ということもわかってきました。

 だから提示された3つのうち、どれかを選んでおけば、好みの音ではないかもしれないが、まず問題はないということです。

 ノイズに関してはとれるものはとっていますが、整音に関してはあまりしません。制作会社さんでレベルなど整えた方がいいと思いますし、最低限のことしかしていないのですが、もちろんこのソフトはそういったこともかなり秀でていると思われます。

 私が長年悩んでいた残響音もカットできますしね。ただ、残響音は大抵カットすると音質が劣化するものです。だから極力自分がこもる(……?)しかない。

 海外の会社が音を加工してはいけない、というのも今はよくわかります。基本的にノイズをとるっていうのはまず音が劣化するんですよね。少なくともizotopeを使うまでは劣化させずにノイズをとるのも大変だったんではないでしょうか。

 でも、このソフトだと何をやってもパーセンテージが高くなければ音の劣化というのが感じられません。もちろん、プロの方からすればあるでしょう。でも、おおむね良好。

 使い始めの頃はリップノイズをとるだけでうんうんうなっていましたが、最近はブレスノイズを低減させたり、リペアアシスタントでイミ不明なノイズをなくしたりすることもできるようになってきました。

 これはもう、宅録必須アイテムと言って間違いないでしょう。

 元々、音楽家のために作られたソフトのようですが、声優やナレーターさんのために作ったかと勘違いするほど、かゆいところに手が届いている。

 ただ、こんなすんごいものが出てきたことによってこの先の懸念は当然あります。

 しかも、つい最近、お仕事で驚くようなことがあって、う~ん、やはりナレーターさんは10年後にこの形態でやっていけるかどうかは微妙だと感じました。

 よっぽど表現に幅がある感じでないと、ロボットにしゃべらしとく?別に情緒とかいらないし……みたいな感じになっていくとておかしくはない。

 ただ、現在の「人」を使う形態が急激に変化するというのは考えにくいので、5年はもつと思っています。

 そこで、人間がどういう道をたどるか、というところかもしれません。

 以前、趣味で歌を歌ったとき、作曲なさった方がボーカロイドとかもやってみたけど、人間がもっている声の成分の情報量というのは比較にならなくて、結局、また人間に歌ってもらいたくなったそうです。

 多少の情緒や抑揚ならロボットでもいけるかもしれません。

 でも、街も近未来にまっしぐらで、車も空を飛びかねない勢いのこの時代に、若者は昭和ブームで、妙に古民家だとか、昔ながらの製法で、手作りで、というのがもてはやされてる時代でもあるので、そのヘンに懐かしい感じにのっかったナレーターさんならまぁ大丈夫なんじゃないでしょうか。

 ……って、無責任なこと言ってますが、もちろんサイエンスの進歩は加速するんで、そのあたり、両方採用しつつ仕事していく、っていうやり方にはなるんでしょうけど。

 古民家カフェの店主もレジでパソコンじーっと見つめてますしね。

  

 で、結局このソフトはなんて読むんだ?という方はぜひ考えてみてください。私はわかりませんでした。結局、ネットで答え合わせ。