以前、カラオケに行った時「それは裏声ですか?」と言われました。
正直わからないんですよね。自分ではね。

みなさんは、ここから上が裏声とかわかるんでしょうか。もちろん私も高すぎる音程は裏声だとわかって出していますが、けっこう音程が低くても裏声な感じがするときもあります。

いわゆるミックスボイス的なものはよくわかりませんし、出せていないと思います。ただ、裏声にしては音が大きすぎるので、そういう印象を持たれたかもしれない。

この大きすぎる裏声は、元々ミュージカルの歌で訓練して出てきたもので、かなり昔から使っています。

そもそも人前で歌うことになってしまったきっかけは、高校の時の文化祭でした。演劇部だったので、歌とは無縁だろう、と思っていたら当時の個性豊かすぎるメンバーがミュージカルをやると言いだしたからです。

そのころ、すでに劇団四季などは見に行っていたので「ふーん、ああいう風に歌うのか」と、思いながら役の選抜に向けて歌の練習をし始めました。

それまでは、歌というととにかくアニメソングしか知りません。今はアニメというと、少ししか知りませんが、子供の頃はおたくに近かったのかな、一度も見たことがない、内容すら知らないアニメの歌まで覚えていました。歌が始まるとカセットテープ(今の人はなんのことやら?)に録音し、アニメを20分ぐらいとばして見ないんだけど、終わる頃、またつけてエンディングを録音するみたいな感じです。

だから、当時「そのアニメ知ってる~歌だけね」みたいな珍妙な回答をしていたと思われます。なんで歌だけなのじゃ、と思った友人は多かったでしょう。今でいうアニソンおたくだったかもしれない。

しかし、歌の選抜でこの一見、なんの役にも立たない趣味が役に立った。なぜかというと、マネがしやすい歌手というのがけっこういたんです。声の質が自分に似ているので、あとは特徴さえつかめば、ほぼ本人に似せて歌えることがありました。Zガンダムとかね。

おかげで卒業する時の色紙には、ほとんど後輩たちから歌のことしか書いてなかった。演劇部なのに「歌の先輩」だという印象しか残らなかったんでしょう。

今も、クラシカルクロスが好きですけど、歌いやすいのはアニメなんですね。たぶん、子供の頃の名残なのかと。

最近は、洋楽で男女がコラボしてるやつ、多いですよね。あれを1人で声を変えて歌うのがマイブーム。男性の方が低すぎるとダメなんですけど、けっこう探すと音域が可能なのも出てきますね。

あとは、洋楽で男性の歌を歌いたいと思ったり、オペラで言うソプラノの上も出したい、と思って、音量は小さいけれど、とりあえず、4オク近くまでは出るようになり、ついでに自分で曲を作って、全てのパートを自分で歌うというおかしな活動をしています。

しかし、これは宅録ができなければ成立しなかったんです。

全てのパートを別人が歌っているように見せかけているので、なかなかに大変な作業ですが、最近、これが声の収録の役に立ちました。

なんか、ガヤとかモブが必要だと言うことで、1人で何人もの別人になり、笑ったり、がやがやする。……みたいな他人が見たらさぞかし怪しげな作業だよ、と思うようなことをしてみました。

この声を変える、という作業は実は大変です。

私の場合、声を変える、ということは別の人格になる、ということと一緒だからです。

たぶん、声優さんで「声変えて」、と言われていくらでも変えられる人はいると思います。みんな器用だしね。

でも、私は声を変えても、人格が変わっていなければ、すぐ元の声に戻ってしまう。芝居だったら当然のこととも言えますけどね。

ガヤはほんの一瞬なので、なんとか誤魔化せますけど、それでもある程度こんな感じの人、という設定は必要です。と、いうわけでただのガヤ、されどガヤとなり、べらぼうに時間がかかってしまいました。こういうところが不器用なのかな……